空の鳥

主に飼い猫+野鳥を撮って、紹介しています。

リタさんの死とくるみ割り人形

近くのリゾートホテルのレストランで朝食。出席者はオルソン夫妻の兄夫婦とドーリー夫婦である。でかいパンケーキを食べる。

滞在先のオルソン夫人のメイは、手芸と料理が得意で、何でも完璧にこなす。フロリダのマーサスチュワートとひそかに名付けた。彼女はビーチに連れて行ってくれる。真っ白い砂浜が続いている。
海底からくみ上げた砂なんだそうだ。暖かいので泳いでいる人がいっぱいいた。桟橋には釣りをしている人が大勢いた。ヒラメをつり上げた人がいてペリカンがそれを狙って待っていた。

メイが「どこに行きたい?」と聞くので、教会に行くためにちゃんとした服を買いにいきたい、と答えたら、あちこちの店に連れて行ってくれた。今は感謝祭セールの真最中。ある店で170ドルの良いスーツが29ドルで売っていた。着てみるとあつらえたようにぴったり。迷わず買う。
ダニーの書斎のパソコンはダイヤル回線の上、ウインドウズ99なので、超遅い。英語しか読めないパソコンでメールをチェック。リタさんの友人からのメールを読む。「知ってると思うけど、リタさんが夕べ亡くなりました」とのこと。彼女は最後までまわりのみんなにに気を配り、彼女らしかった。亡くなる10日前に会ったのが最後で、亡くなった日マリレンに電話し、旅行から帰ったら会いにいくと伝えたが、間に合わなかった。覚悟していたお別れだけど、こんなに早くだとは思わなかった。彼女とはしばらく一緒に暮らしたので、思い出がいっぱいある。
享年62歳、若すぎる。でも惜しまれて愛されて、良い人生だったではないか。彼女は死ぬ3ヶ月前買いたいものを買い、見たいものを見、聞きたい音楽を聴いていたし、会いたい人に会っていた。言いたいことも言っていた。フィリピンから、マレーシアから、日本から、イギリスから、友人や家族が会いにきていた。
最後に会ったとき「ピアノを弾いてほしい」といってバッハを弾いたら喜んでくれた。そして彼女はすばらしい音楽家だと皆に言って励ましてくれた。持っていった万華鏡を手に取って、子供のように喜んで、「明日一日これで遊ぶの」と言ってまわりのみんなに見せていた。悪くないお別れだ。
パートナーのマリレンに何と言って慰めたらいいかわからない。お悔やみのカードを買いにいったが、子供や親やペットや配偶者のはあっても、同性のパートナーというのは無かった。
夜、ダニーとメイがバレエのくるみ割り人形に連れて行ってくれた。2回のボックス席だ。お金持ちが大勢来ていた。立派な美術品の陳列のあるシアターで、来ている人々は99%が白人、豪華に着飾っている人もいた。バレエには子役がたくさん出ていて、とてもかわいかった。
舞台はとてもお金がかかっていて、いろいろな仕掛けが工夫されていた。衣装もとても美しかった。出演している子供は地元のバレエ団の子供たちで、両親や家族に囲まれてうれしそうであった。子供を習わせるならピアノよりバレエがいい、と思った。オーケストラは地元ネープルズの交響楽団だったが、チャイコフスキーのこの組曲を全部聞いたのは初めてだったので、感激した。知らない曲の多いこと。どの曲もすばらしい。音楽のすばらしさと舞台の華やかさが一緒になって、実に楽しませてくれた。幸せなひとときだった。