空の鳥

主に飼い猫+野鳥を撮って、紹介しています。

世界の果てのビートルズ

最近読んだ本で一番面白かった。作者は北極圏の出身。スウェーデンの領内だが、フィンランドとの国境の村なので、フィンランド語を話す。作者の自伝的小説。子供の頃から思春期までの物語。村の子供達は殴り合って生きていて非常に粗野。ロッタちゃんと同じ国の話と思えない。
自然の描写も美しい。色とりどりのオーロラ、凍てつく川。村の人々の結婚式の場面は面白かった。豪華なごちそうの後、両家親族の自慢大会になって、腕相撲したり、皆で裸になってサウナに入ってがまん大会をするのだ。また近所のおばあさんのお葬式をしたあと、相続をめぐって親戚一同の大げんかが始まったり、学校の先生が自転車でスクールバスと競争したり、ギターを買うためネズミ退治のアルバイトをしたり、奇想天外な転回になって読者を惹き付けてやまない。
村の因習も困難な歴史の背景も作者のユーモアのセンスで重苦しくならず、面白く読めた。さすがスェーデン人で12人にひとりが買った本だけある。映画もあるそうで、観てみたい。

世界の果てのビートルズ    新潮クレスト・ブックス

世界の果てのビートルズ 新潮クレスト・ブックス