空の鳥

主に飼い猫+野鳥を撮って、紹介しています。

畜犬談―伊馬鵜平君に与える

太宰治作。彼がいかに犬が嫌いか、はじめに長々書いてある。大袈裟で難しい言葉を選び、笑ってしまうほどだ。
たかだか日に一度や二度の残飯の投与にあずからんがために、友を売り、妻を離別し、おのれの身ひとつ、家の軒下に横たえ、忠義顔して、かつての友に吠え、兄弟、父母をも、けろりと忘却し、ただひたすらに飼主の顔色を伺い、阿諛あゆ追従ついしょうてんとして恥じず、ぶたれても、きゃんといい尻尾しっぽまいて閉口してみせて、家人を笑わせ、その精神の卑劣、醜怪、犬畜生とはよくもいった
彼はいつか自分は犬に噛まれるに違いないと確信している。
私は、とにかく、犬に出逢うと、満面に微笑を湛たたえて、いささかも害心のないことを示すことにした。
噛まれたくないために野良犬に笑顔を見せる太宰治。ところが、犬に好かれてしまい、ついに子犬が後ろからついてきて、飼うことになり、嫌いだと言いながら、ポチと名付けて居ないと捜したり、シェパードに飛びかかったら蒼くなったり、「あれ?本当に犬が嫌いなの?」と思った。