空の鳥

主に飼い猫+野鳥を撮って、紹介しています。

晴天、洗濯日和

雨は上がって晴れ渡り、洗濯日和となった。
自動車税を支払いに銀行へ行く。パーキングから歩いていると、ふと目に付いた公共交通機関のオフィスの光景。仮眠用お布団はふかふかだ。
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青空文庫を読んで過ごす。太宰治の「津軽」に出てくる「Sさん」の疾風怒濤の歓待の下りが面白かった。この「Sさん」は実在の人物で後に文学記念碑を建立するとき寄付している。
「おい、東京のお客さんを連れて来たぞ。たうとう連れて来たぞ。これが、そのれいの太宰つて人なんだ。挨拶をせんかい。早く出て来て拝んだらよからう。ついでに、酒だ。いや、酒はもう飲んぢやつたんだ。リンゴ酒を持つて来い。なんだ、一升しか無いのか。少い! もう二升買つて来い。待て。その縁側にかけてある干鱈をむしつて、待て、それは金槌でたたいてやはらかくしてから、むしらなくちや駄目なものなんだ。待て、そんな手つきぢやいけない、僕がやる。干鱈をたたくには、こんな工合ひに、こんな工合ひに、あ、痛え、まあ、こんな工合ひだ。おい、醤油を持つて来い。干鱈には醤油をつけなくちや駄目だ。コツプが一つ、いや二つ足りない。早く持つて来い、待て、この茶飲茶碗でもいいか。さあ、乾盃、乾盃。おうい、もう二升買つて来い、(中略)早くリンゴ酒を、もう二升。お客さんが逃げてしまふぢやないか。待て、お前はここにゐてサアヴイスをしろ。さあ、みんなにお酌。リンゴ酒は隣りのをばさんに頼んで買つて来てもらへ。をばさんは、砂糖をほしがつてゐたから少しわけてやれ。待て、をばさんにやつちやいかん。東京のお客さんに、うちの砂糖全部お土産に差し上げろ。いいか、忘れちやいけないよ。全部、差し上げろ。新聞紙で包んでそれから油紙で包んで紐でゆはへて差し上げろ。(中略)待て。砂糖はお客さんがお帰りの時でいいんだつてば。音楽、音楽。レコードをはじめろ。シユーベルト、シヨパン、バツハ、なんでもいい。音楽を始めろ。待て。なんだ、それは、バツハか。やめろ。うるさくてかなはん。話も何も出来やしない。もつと静かなレコードを掛けろ、待て、食ふものが無くなつた。アンコーのフライを作れ。ソースがわが家の自慢と来てゐる。果してお客さんのお気に召すかどうか、待て、アンコーのフライとそれから、卵味噌のカヤキを差し上げろ。これは津軽で無ければ食へないものだ。さうだ。卵味噌だ。卵味噌に限る。卵味噌だ。卵味噌だ。」