赤毛のアンを当時の文化や歴史に照らし合わせて読み解く本。村岡花子だけではなく他の翻訳者と比べてみている。人種差別やジェンダーに関する海外の文献の紹介も面白かった。
それにしてもなぜ村岡花子は、マシューのお通夜のシーンのダイアナが帰った後のくだりを大幅カットしたのだろう。原作のページが落丁していたか、戦争のドサクサで汚れたか。あの時のマリラのセリフこそドラマのクライマックスと言っても良いのに。
中学1年で初めてこの作品を読んだ時は赤毛のアンと同世代だったので、心からアンに同情して厳格な中年独身女のマリラに憤慨したが、今読んだら今の私の同世代のマリラが主人公かと思うぐらい肩入れして読み、おしゃべりな養女に振り回されるマリラにいたく同情。これも不滅の名著のなせる技だ。
「いまだかつて、だれも神を見た者はありません。もし私たちが互いに愛し合うなら、神は私たちのうちにおられ、神の愛が私たちのうちに全うされるのです。」(第一ヨハネ4:12)
シニカルな独身女のマニラも頑固なクリスチャンだったけど、アンを育てて自分が子供を愛していることを自覚して、彼女の優しさが顔を出した。
最近のくるみ
昼と夜とでは、目の色が異なる。