晴天の気持ち良い日。
高田かや著「カルト村で生まれました。」と「さよならカルト村。」を読む。エッセー漫画。暴露本につきもののネガティブな内容でなく、(第一カルト村の名前すら出てこない。) 淡々と子供の頃の経験や心情が淡々と正直に綴られていて、可哀想で、それでユーモアたっぷりで面白い作品だと思った。
彼女は、農業法人の経営する大規模なユートピア(生活共同体)で生まれ、19歳になるまで、そこで教育を受け、働いた。
子供の頃、親から離され全寮制の洗脳教育。義務教育は公立で受けたが、早朝から労働、朝食は抜きだったので野に咲く植物や、お地蔵さんのお供えまで食べていた。世話係の体罰は日常的で、平手打ちや正座や食事抜きなどで支配され、部活や寄り道や友達の家に遊びに行くのも禁止。農場を手伝っていた。両親に会えるのは年に数回だけで、手紙も検閲され、戦後の教科書のように黒く塗りつぶされていたという。
転機が訪れたのはオウム事件。そのあとの脱税事件で報道のヘリコプターが飛び交う。
今彼女は家族とともに脱会して、結婚して幸せに暮らしているようで、ご主人が漫画では時々登場して、慰めたり同情したりしている。その優しさにホッとする。