去年9月に逝去された、クリスチャンの画家正子Rサマーズさん(享年88)の壮絶な生涯。
1928年大阪で生まれた正子さんは幼い頃両親の故郷の沖縄に戻り、極貧の生活をする。
4歳にならないうちに、父親に辻の遊郭に売られてしまう。遊郭から小学校に行かせてもらうが、先生や級友の目は冷たく、見下げられていた。
伝統舞踊や楽器の厳しい稽古を受け、座敷で披露、接客もする。お祭りのパレードでは選ばれて人力車に乗った。
16歳で水揚げ。女主人が嫌がる正子さんの髪をつかんで折檻して無理やりお客を取らせる。
戦争が激しくなると従軍慰安所に強制移動。18歳以上の娼婦だけが慰安所で生地獄を味わい、それ以下は鑑札がないからまだ16歳の正子さんも接待だけだったそうだ。日本軍の参謀長や軍人は立派な人々だったようであり、驚いた。犠牲者20万といわれる激しい沖縄戦を壕の中で生き延び、動けなく倒れているところをアメリカ軍に助けられる。
基地の食堂で働いていたところ、遊郭の女主人から借金を取り立てられ、ベーコンの油を溜めて売ったお金で借金を返してフリーになり、良い出会いがあってアメリカ軍人と結婚。夫が米軍人だと言うだけで周りから蔑まれた。
法律が変わって渡米。夫の家族はじめ良い人々に囲まれ、教会に行ってクリスチャンになった。
絵を始めたところ、買いたいと言う人が増えたので絵を売り始め画廊を始める。
彼女は素晴らしい絵を描く。
大学でも絵を教えるようになった。
今では自分を売った父親を許していると言う。
「許す」事は新しい一歩を踏み出す重要な事柄だ。
沖縄からアメリカ 自由を求めて! 画家 正子・R・サマーズの生涯
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