空の鳥

主に飼い猫+野鳥を撮って、紹介しています。

おそろしい女中の日記

羽仁もと子著「女中訓」を青空文庫で読む。

彼女は「婦人之友」の創刊者でクリスチャン、記者、起業家、教育者、家計簿の発案者、学校創立者、エッセイストでもあった。(1873−1957)

母は長年、婦人之友を愛読。今も彼女の考案した家計簿をつけている。

さて、今日紹介したいのは「女中訓」である。書かれたのは大正10年なので、西暦1921年

97年前、女中と呼ばれる住み込みのメイドが中流以上の家には必ずいた。その女中たるものどうすべきか、という訓示が書かれている。その中で日記についてこういうのがあった。

日記をつけるということは、ほんとうによくすれば、いろいろな利益のあるものですけれど、……(中略)大切な自由時間を、毎晩毎晩二、三十分をついやして、きょうは暑くってほねが折れた、寒くって泣きたかった、小言をいわれていやだったというふうなことを、だらだら書くようなのは、役にも立たないことだと思います。……(中略)日記というよりは、何となくあらさがし、不平録ろくといったようなもののできるのは、第一に書くものの恥になります。
 書いておきたいなら、新しい料理を習ったときに、その仕方をかきつけたり、珍しいところに遊びにつれて行ってもらったときにそのことをしるしたり、のちのちのためにもなるようなことを聞いたときに書いておいたりすると、あとから出してみても、楽しみにもなりためにもなるわけです。

これを読んで少し自分も反省。

 

次に女中の日記を読んだある奥様が羽仁もと子に話した内容について。

毎日毎日その日にみえたお客の批評と、主家に起こったつまらない出来事を、まわらぬ筆で、その日記に書いていた女中もあり、きょうも残りもの、きょうも残りものとおかずの小言ばかりを書いていた女中もあったと、この間あるところでもみなさんのお話にうかがったことでした。

ほんとうに女中の日記というものは、おそろしいと思ったということでした。

恐ろしいのは女中の日記を勝手に読む奥様ですよ。