空の鳥

主に飼い猫+野鳥を撮って、紹介しています。

10年ひと昔

先日訪れたボストン。10年ぶりだったが、建物も並木も、街の雰囲気も、ほとんど変わらなかった。

でも住んでた家の大家さんの、12歳だった黒猫は逝ってしまい、となりのお爺さんジェレミーも、反対隣のお婆さんレイチェルも、亡くなったそうだ。黒猫のラッセルは、前にも書いたが私の帰るのをいつも勝手口で待っていた。愚鈍で雪が積もっても気づかない子だった。隣のジェレミーは、なんでも拾って来る趣味の持ち主でゴミ屋敷に近い状態だったが、親切で、私が音楽をやってるから、と拾った楽譜やリサイクルのバイオリンをくれた事もある。レイチェルは雪の日に車を出せずにいたら、古い絨毯をだして来て車の下にかませて助け出してくれた。ある時は豆乳しか飲まないというと、牛乳を飲まないと骨がもろくなるよ、とアドバイスしてくれた。

ピアニストをしていた教会では、ブラザー・ジェイが96歳で天国に行ってしまっていた。彼は教会守りと会計士として、いつもいた。ある吹雪の日教会に行くと誰もいなくて、彼ひとりだけ礼拝堂にいて言った。「今日は雪で休みだよ。」皆から愛され、敬われていた。ある時ある聖職者がもうろくした彼に腹を立てて怒鳴り、その聖職者はクビになった。高齢者に対する態度が失礼だ、というのが理由の一因であった。

教会でもっともエネルギッシュだったエドウインのママも亡くなった。彼女はすごい種類のパイを作る名人で、信仰深く、教会に息子が来ないと、携帯で叱って呼びつけていた。

10年前教会に来ていた子供は、若者になって多くは来なくなっていた。でも新しく生まれた幼児から子供、シスターと呼ばれていた中年女性は、老齢にさしかかってマザーと呼ばれていた。若い女性だったキムは10年たって「孫が2人いるの。」と言うのでびっくりした。

10年経っても、ボストンの街並みは変わらないだろうなあ。でも住んでいる人々は少しずつ変化していくんだろうなあ。