私の父は幼い頃に母を亡くし、祖母と独身の叔母に育てられた。祖母は父が11歳の時死去。叔母が育児をした。
私にとって大叔母に当たる彼女は生涯独身だった。世話しないとならない甥や姪がいたからだ。
彼女は割烹着を着て四天王寺のボランティアをしたり、学校の行事を欠かさず出席したり、交際も広く楽しくて愉快な人だった。甥や姪たちの学校の友達を招いてしょっちゅうパーティーをしていた。何組もお見合いをさせ、仲人になった。私の誕生を喜んでくれて、ケーキを買ってうちに来て誕生日を祝ってくれた。膝に乗せて歌ってくれたり、詩を手紙に書いて送ってくれたりした。
だが家庭内では独裁者で、家族を彼女の支配下に置き、配偶者に至るまでコントロールした。
そのためみんな言葉に傷つけられた。
私も子供の頃彼女が苦手だった。
晩年、うちの両親以外、全ての家族と絶交した。
61歳の時、奈良県明日香村の古民家を買って一人暮らしをして、79歳で寂しい生涯を終えた。
私の両親は当時40代だったが、3日おきに食べ物を片道2時間かけて運んで家事や庭仕事をしていた。
まだあの頃は日本に介護保険や訪問介護サービスがなかったのである。
大叔母は生前私の両親と養子縁組し、祖母となった。
今になって彼女が気の毒でならない。良かれと思って家族のために努力したことが評価されず、悪く言われ、孤独だった。
そして彼女は私にとって学ぶところの多い、大切な反面教師。
- 家族や友人は大切に付き合う。
- 何かしてもらったら心から感謝してありがとうと言う。
- 人を傷つけてしまったら心から謝る。
- 悪口や自慢や同じ話をくどくど繰り返さない。
- 気に入らないと言ってヒステリーを起こさない。
- 良かれと思っても相手をコントロールしない。
- 世間と遮断し、落ち込んで寝込まない。
おばあちゃんありがとう。心がけるわ。
生きてる間やさしくしてあげなくて、ごめんね〜。
*1:写真の左より叔母takenokobaba、大叔母、父