空の鳥

主に飼い猫+野鳥を撮って、紹介しています。

映画「婦系図」(1934)

泉鏡花の文学で最も有名な小説の映画化第一作品。

元芸者お蔦(田中絹代)と事実婚している早瀬。

恩師に知れる事になって激怒され、

「女と別れるか私と別れるか。」

と迫られ、泣く泣く神社でお蔦に「別れてくれ。」と切り出す早瀬。

「別れろ切れろは芸者の時にいう言葉。私には死ねとおっしゃってくださいな」

と泣くお蔦。

手切れ金を渡されたお蔦は

「こんな物!!」

と言うので、突き返すのか…粋だなぁと思ったら、袱紗に包んで懐に…

え?やっぱりお金貰うの?

 

昭和9年のトーキー映画で、田中絹代が、竹下夢二蕗谷虹児の絵のよう。

しなしな、なよなよ、スネたりイジイジしたり、全身で当時の「女らしさ」を表現している。

台詞には、わからない単語が幾つかあり、当時の日本語は今とは随分違うな、と感じた。

(青空文庫の原作はもっと難解。)

神社の別れ話シーンで、背後でずっと

「ガンガラガンガラ〜〜パンパン」

の参詣客の鳴らす音がずっと途切れず聞こえて、可笑しかった。

 

グーグルによると、ここまでは実話に基づいたストーリーで、作家自身の体験談。

恩師が死んで、元芸者と結婚した泉鏡花は生涯夫婦円満で仲が良かったそうだ。

でも金色夜叉といい婦系図といい、明治のヒット小説はどこが人々の心を掴んだのか、サッパリわからない。