1999年に堺のマンションに同居していた友人M子さんがリハのため滋賀からやって来た。
彼女は健康に気遣う声楽家で、帰宅すると必ずうがいをする。
当時ヨウニが来日中で、うがいが何のことだかわからなくて、「あのアヒルみたいな音は何だ?彼女は何をしている?」と尋ねた。
うがいは日本の習慣で、欧米ではやらないので、「ガラガラ」というサウンドに見当がつかなかったのだった。
ところで、M子さんは視覚障害者だ。金剛駅の駅員さんがホームまで 迎えに行ってくださった。私は入場券買って行かなくてもよかった。お礼を言う。
彼女はなんでも正しく覚えている。見えないのにだ。
一緒に歌の伴奏していて感心する。
教えられる事だらけだ。
どこも悪くないのに、不満だらけだ。見えないってどうだろう。
M子さんはスマホだって映画だって全く見えない。
なのに彼女は昔も今も前向きで明るい。