午前11時。クルミが脱走。
ピンポーンとチャイムが鳴って、ドアを開けると若い警官が警察章をちらつかせながら立っていた。
ニコニコしながら「ご存じと思いますが。」と脱走犯の手配書を手渡した。
知らいでか。
事件から5日目。やっと金剛地域にも聞き込みに来てくれはったのである。
「バイクが家の前を通ったり、何かあったら警察署にお電話ください。」
母は労をねぎらい、よろしくお願いしますと挨拶している。
「うちの猫も脱走したんですが、知りませんか?」と聞こうとしたが、忘れた。
猫は2時間後、帰ってきた。