夜の新宿の西口はちょっとした高速バスの溜まり場だ。
「長岡に行きま〜す」「関西方面で〜す」と呼び込む人々。
そこはバスのロータリーでも待合室でもなく、ただの路上である。
やっと自分のバスが来て乗り込む。カーテンがついていてトイレもあって、３列だというのでこれにした。
２回サービスエリアで停まったが、そこは大勢の長距離バスであふれ帰っていた。
一番上等のプレミアムバス（二階建て）は宣伝するかのように、一番目だつ場所に停まっていた。
値段は一番格安の飛行機とあまり変わらない。
私の隣の席の人は音楽を聴いていたのだが、イヤホンを外して熟睡してしまったのでうるさくてかなわなかった。周りの人も同感だったようだが、トラブルを避けるため誰も何も言わない。
「小さくしてもらえませんか」と言ってみたが、起きないようだ。
そこで運転手に言いに行く。すると彼は空いてる別の席に移動してください、といった。さらに「もうしわけございません」と彼になりかわって謝った。
日本は変わった国だと思った。
