空の鳥

主に飼い猫+野鳥を撮って、紹介しています。

「色彩を持たない多崎つくると巡礼の年」村上春樹著を読む

村上春樹だと言うだけで買っていいのだろうかと思ったが、読んでみてやはりこれは相当面白いと思った。
ある日突然親しかった4人の友達から同時に絶交されてしまう主人公は、絶望して自殺も考えてしまう。 理由が全くわからないまま16年も経過してしまうが、主人公はまだ完全に癒されていない。
利用がわからないまま絶交されてしまうという経験は誰にしもあると思う。またその逆もあると思う。こちらも傷ついてるが向こうも傷ついている。
殺された女性のことを私も殺していたかもしれないといった下りは聖書の中に出てくるストーリーを彷仏とさせる。
ところで、オフィスに置いてある家具の詳細な描写。ついつい主人公が語っているように考えてしまうのだが、ここまで詳しいだろうか、詳しいのは作者じゃないかと思って可笑しかった。それと久しぶりに名古屋の高校の友達としゃべるときはやはりいくら長年東京に住んでいても名古屋弁になるはずじゃないかな。でも「俺とお前」が「わしとおみゃあ」になったら村上作品ではなくなってしまう。

読了感は爽やかで、読んで良かったと思う。