空の鳥

主に飼い猫+野鳥を撮って、紹介しています。

「あめゆきさんの歌 山田わかの数奇なる生涯」山崎朋子著

青鞜」のメンバーであり、女性問題評論家、 作家、翻訳家、社会事業家。明治大正昭和と活躍した山田わか(1879−1957)。

波乱万丈の人生。

彼女は立派な地主の家に生まれたが、経済的に困窮。最初の結婚相手と離婚し、米国に出稼ぎに行って騙されて、シアトルの娼館で囚われの身になっているところを日本人新聞記者の立井信三郎に助けられ、サンフランシスコへ駆け落ち。

でも信三郎はすぐ結婚するでもなく、お金がなかったからか、わかを娼館に売る。

いよいよ明日という日に、わかはひとり逃げて、キリスト教長老派の活動家が運営する救済ハウスに逃げ込み、助けられる。信三郎がハウスにしつこく会いに来たが「女を売った男だ」という事でわかを会わせなかった。ついに信三郎は服毒自殺をしてしまう。

わかはクリスチャンになって洗礼を受け、救済ハウスの奉仕をしながら、ある塾で勉強を始める。そこで夫となる山田嘉吉と知り合い、結婚。

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帰国してから、わかは時代の先端を行く青鞜社の女性評論家、作家、翻訳家、母子保護のための運動家、社会事業家となって、母子寮や保育園を作り、戦後はパンパン*1の更生のための女子学園を作って、娼婦の社会復帰に捧げ、偉大な業績を残した。

 

山崎朋子は偶然サンフランシスコで日系人から聞いた情報を元に、あちこち足を運び、関係者に会い、インタビューし、この本を書き上げた。すごいバイタリティだ。しかしいくら亡くなったとはいえ、彼女がアメリカで娼婦だったことをこんなおおっぴらに本にしてもいいのだろうか、と最初は思った。

でもわかがアメリカの娼館にいなければキリスト教の救済ハウスに行くことはなかったし、帰国して同じような婦人保護施設を作ることはなかったろう

神さまの大きな計画があった事を知る事が出来て、良かったと思う。

 

*1:米兵相手の娼婦