空の鳥

主に飼い猫+野鳥を撮って、紹介しています。

「感冒の床から」 与謝野晶子

朝日新聞の朝刊に取り上げられていた与謝野晶子のエッセイを、Kindleで読む。彼女は100年前のスペイン風邪についてのエッセイをいくつか書き残している。

東京と横浜だけで1日400人亡くなっていたらしい。

政府の対応についてのコメントが面白い。

 盗人を見てから縄を綯うと云うような日本人の便宜主義がこう云う場合にも目に附きます。(中略)

米騒動の時には重立った都市で五人以上集まって歩くことを禁じました。伝染性の急劇な風邪の害は米騒動の一時的局部的の害とは異い、直ちに大多数の人間の健康と労働力とを奪うものです。政府はなぜ逸早くこの危険を防止する為に、大呉服店、学校、興行物、大工場、大展覧会等、多くの人間の密集する場所の一時的休業を命じなかったのでしょうか。そのくせ警視庁の衛生係は新聞を介して、成るべく此際多人数の集まる場所へ行かぬがよいと警告し、学校医もまた同様の事を子供達に注意して居るのです。社会的施設に統一と徹底との欠けて居る為に、国民はどんなに多くの避らるべき、禍を避けずに居るか知れません。