若草物語は作家ルイザ・メイ・オルコットの自伝的小説である。父が南北戦争に従軍、留守を守る母と四姉妹の物語。数ある少女向け小説の中でも群を抜いて奥が深くてリアル。三度映画化された。そのモデルになった四姉妹は、どんな人生を送ったのだろう。
- 長女メグのモデル、アンナ・オルコット・プラット(1831-1893) 続若草物語に出てくる描写そのままの結婚式を挙げたそうである。子供は双子でなく、男の子2人。早くに夫を亡くしたが、ソローが住んでいた家で子供を育てた。
- 次女ジョーのモデル、作家ルイザ・メイ・オルコット(1832-1888) 一生結婚はせず独身だった。奴隷反対主義でフェミニスト。汽車に乗り遅れたと言う理由でボストンまで4時間歩いて舞踏会に行った男勝り。貧乏だったオルコット家に豊かさをもたらせた。父の死後2日で死去。
- 三女ベスのモデル、エリザベス・セワル・"リジー"・オルコット(1835-1857) 物語と違って南北戦争が始まる前にたった22歳で亡くなった。埋葬にはソローやホーソンなど米国文学史に名を残した人々も参列。
- 四女エミリーのモデル、アビゲイル・メイ・オルコット(1840-1879)画家。ヨーロッパに三度留学。パリで個展もする。38歳で22歳のタバコ商人でバイオリン奏者のスイス人と結婚し翌年女児ルルを出産したが、七週間後パリで死去。子供は姉達がコンコードで育てる。(96歳まで生きた。)
こうして見ると、ベスだけではなく、エミリーも早くに亡くなっている。若草物語の創作された家、オーチャードハウスだけでなく、メグが住んでいた家も歴史的建造物ソロー=オルコットハウスとして残されている。
「私たちは、兄弟のために、いのちを捨てるべきです。世の富を持ちながら、兄弟が困っているのを見ても、あわれみの心を閉ざすような者に、どうして神の愛がとどまっているでしょう。」(第一ヨハネ3:16より)
四姉妹の三女ベスは、近所の貧しい移民を助けに行って、猩紅熱をうつされ22歳で早世したが、困っているのを見て助けずにはおれなかった。本物のクリスチャンだなあ。