空の鳥

主に飼い猫+野鳥を撮って、紹介しています。

猛暑の中、まじめにやって来た11人のピアノの生徒

35度を超える猛烈な暑さだった。スウェーデン人のギターの先生ビヨンにステイプルズ(文具屋)でばったり会う。「さっきウォルデン湖で泳いで来たんだ。気持ちよかったよ。」このウォルデン湖はソローの「森の生活」という英文学で有名なコンコードの池である。昔は森の中の湖であったが、今は森こそあれ、2号線沿いで線路沿いでもある。泳いできれいなのだろうか。北欧人は湖は泳ぐところ、と思っている。
うちの生徒は11人ひとり残らず、やって来た。白人たちは「暑い」とわめき、インド人、黒人は涼しげであった。幼稚園児のミッチェルは「今日は全くバーニングだよ」とおっさんくさい言い方をしながらも、手をつなぎに来た。友達のお家にプールがあって、泳がせてもらったそうだ。インド人の少女アンジェリは、小さいグランドピアノを買ってもらったそうだ。最初は驚いたが、「レキシントンの人が売りたがっている中古ピアノで、3000ドルだったの」と聞いてほっとした。黒人ナムジーは弾き歌いをするようになった。歌詞と曲をノートに書く。リチャードは溶接工の技術をもつオタク系の天才で、21歳の誕生日にママがグリークのピアノ協奏曲とショパンノクターンの楽譜を買ってくれたそうだ。「1ページずつ弾いて来ましょう」という。彼は私に聞かせようと思って、すごい曲を作曲して来た。どう思ったか聞きたい、というので、「海のそこの暗いところをあるいて大きな岩がある感じ」と答えたら、「そう言ってくれるのを聞きたかったんだ」と大喜びしていた。苦悩を表したかったそうだ。「こんな子、どないせいっちゅうねん」と心の中の声がしたが、顔ではにっこりして、「毎週沢山曲を作りなさいね。いい練習になりますよ」と勧めた。今日はショパンというやっと私でも教えられる曲を持って来たので、いっぱい先生らしくできた。いつもラフマニロフとリストなので、顔が引きつりっぱなしだったのだ。