空の鳥

主に飼い猫+野鳥を撮って、紹介しています。

「おいしい中国」楊 逸著を読む。

題名だけを見て、中国人料理家の本かと思って手に取ったら、読み始めて全く違うことがわかった。
この作者楊 逸は、1964年中国で生まれ育ち、貧乏ながらも楽しく子供時代を過ごしたが、1970年に両親が教育者でお母さんが地主の娘だというだけの理由で一家で農村へ「下放」させられる。
氷点下2、 30度の窓もドアもない所へ移住させられ、電気もガスも水道もなく、畑をしたり家畜を飼ったりしながら生き延びる。読めば読むほど壮絶である。
だが彼女はユーモアたっぷりにそれを記している。
文化大革命が終わって都市部に戻れても、苦労は続く。住むところがなく高校校舎の3階に一家で入居した時も煙突がないため料理のたびに煙に苦しむ。
やっと台所を外に建てても、ご近所のテレビから出火した火事で服や持ち物全てを家なうなど苦労が続く。
この本では、その度にどのような食事をしたかという事を、写真入りで説明している。重苦しい内容なのに、それを感じさせない。それは作者の持つユーモアであり、芥川賞作家の持つ優れた文章力から来るものだろう。中国版大草原の小さな家といった感じで読む人をわくわくさせる力がある。