1909年に出版されたアメリカ小説。女性作家ジーンポーターは生物学者としても優れていたが、この小説は彼女ならではの作品となっている。
(ネタバレ)
主人公エルノアは蛾の収集オタク。シングルマザーに育てられるが、その母親が鬼母。愛する夫をなくしたことから立ち直れず、娘を可愛がれない。ドのつくケチで娘にお金を使いたくない。エルノアは高校に行きたいが費用を出してもらえないので、インデアンの遺跡や蛾の収集でお金を稼いで、けなげに生きる。
最初はボロを纏って髪の毛も洗わず、クラスメイトに軽蔑されていたが、自分で稼いだ金で近所の人に服を縫って貰い、ついにはみんなの人気者に。
沼で溺れかけている夫を助けようとした時に産気づいたらことがきっかけで娘を恨んでいた母親は、夫が浮気をしていたことを知って急に娘に対する態度を改める。そして一緒に虫の収集を手伝うようになる。さらに虫の収集で知り合った金持ちのイケメンと最後はめでたしめでたしとなる。
このストーリーには突っ込みどころがいっぱいある。
美しい主人公は「蛾の収集オタク」。
自然愛好家でナチュラリスト。知識も豊富だ。でも知識をひけらかすし、思ったことをはっきり言う。ステレオタイプのヒロインにしては、変わった女性だ。
次に動物虐待のシーンが時々ある。二匹の猫の足を縛ってぶら下げる子供や、犬にいたーをかぶせて乗る場面など。いたずらっ子にさせるにしては残酷だ。
でも当時のアメリカ社会や価値観がよくわかって面白い。「ありえない」とわめきながら読むと楽しい。200万部を売り上げた大ベストセラー。映画化も何度かされている。
- 作者: ジーンポーター,Gene Stratton‐Porter,村岡花子
- 出版社/メーカー: 河出書房新社
- 発売日: 2014/08/06
- メディア: 文庫
- この商品を含むブログ (5件) を見る