空の鳥

主に飼い猫+野鳥を撮って、紹介しています。

春駒日記 森光子著 大正15年

大正時代、吉原の遊郭を脱出して、白蓮夫人(大正三美人と言われた、大正天皇のいとこ)の家に逃げ込み、助けてもらった花魁の、日記。先日読んだ「光明に芽ぐむ日」と同じ著者。題名は賀川豊彦牧師がつけたそうだ。
生きながら牢屋の様に逃げることができなかった、吉原の遊女。彼女は文学が好きで、日記をつけていた。
遊郭における遊女同士の人間関係、お客さんの様子が細かく書かれている。病院でリンパ腺の手術を受ける部分は、壮絶である。
自分を売った母親の死に目に会うことができたものの、葬式に参列することは親戚が世間体を気にして許してくれない。
政府ぐるみでこの恐ろしい伝統的な売春が行われていたというのは、日本の恥の歴史だ。
涙なくしてこの本は読めない。
ただ、遊女が病気になった時みんなが助け合ったり看病しあったりする様子は感動的だ。苦労している女性たちなのでお互いの痛みがよくわかるのだ。
この著者は、この後結婚した。夫婦でやくざに追われていたようだ。その後のことは誰も知らない。幸せに一生過ごしたのだろうか。