空の鳥

主に飼い猫+野鳥を撮って、紹介しています。

吉原花魁日記 森光子著

これは本当に存在した少女の日記。森光子さん(俳優の森光子さんとは別人)がティーンエイジャーだった大正の末期に酒飲みの父が死んで借金が残り、信用していた近所の金持ちに騙されて吉原の遊郭に売られた。彼女は最初からずっと日記をつけていた。彼女は逃亡して遊女を辞めた後、大正15年に出版。その後絶版になったが数十年を経て3年前に再出版された。
表紙が少女漫画風の花魁なので子供が女性史の勉強のために読むような本かと思ったが、とんでもなくヘビーな涙なくして読めない体験記録である。

6年の年季とは言え、借金は簡単に返さないようなからくりになっていて、警察に届けられるので逃げることもできない。病気になっても入れられる病院は牢屋のようなところ、関東大震災の時経営者は被災した女性たちを見殺しにする。
恥ずかしい日本の歴史がよくわかる。
読んで少し嬉しかったのはクリスチャンの人がきて、卑屈にならないように励ますところだ。

彼女はある日脱出に成功する。そして自由廃業し経験談は貴重な資料として出版されることになった。