めちゃくちゃ面白い本だった。
京都市右京区で生まれ育った著者は、京都の下京区の町屋の当主に出身地を尋ねられ、嵯峨だと言うと
「昔、あのあたりにいるお百姓さんが、うちへよう肥をくみにきてくれたんや」
と田舎者呼ばわりされた。
さらに嵯峨は田舎なのか国立民族博物館の館長(西陣生まれ)に確認したところ、
「そら、そうや。あのへんは言葉づかいがおかしかった。僕らが中学生ぐらいの時には、まねをしてよう笑いおうたもんや。」
とバカにした。
さらにその事を中京の新町御池で育った友人に話したら、
「西陣ふぜいのくせに、えらい生意気なんやな」
とくさし、京都はこわいと感じたそうだ。
京都の洛中(中心部)以外は、田舎なのである。
自虐気味に京都人の中華思想(自民族中心主義)を歴史的背景から詳しく説明している。
歴史の勉強になった。
「京都人たちがえらそうな顔をしていられるそのよりどころは、けっきょく歴史にある。嵯峨あたりを軽んじられるようになったのも、千年の都という中華思想のせいである。」
皮肉とユーモアに満ちたこの本、笑い転げながら、読んだ。