電車を乗り継いで従姉のAちゃんが来た。
彼女は小さなアルバムを持ち出し、子供時代の写真を見せてくれた。その写真を見て、私たちは大いに笑った。懐かしい思い出が蘇ってきたのである。
思えば彼女とは生後2ヶ月からの付き合い。
母の実家では同じ年に4人の孫が生まれ、そのうち8月と10月に私たちが生まれた。当時60歳の祖母は大変だったろうと思う。
また赤ちゃんがいるのに幼い娘2人に着物を着せて年始に行く伯母は、今から思えば大変だったろうと思う。
さて、私たちが喋っている間、数時間こたつに籠城していたうちの猫クルミ、ついにAちゃんに話しかけられる。
Aちゃんが優しくクルミを撫で始めると、最初はグルグル喉を鳴らしていたのだが、やがてクルミの耳がピンと立ち始めた。
私は少し心配になったが、Aちゃんはおだやかに話しかけながらさらにクルミを撫でてくれた。
すると、クルミはついに唸り始めた。
やばい。
「噛んだらあかんで。」
と呼びかけたが、無駄であった。
「カプ」と遠来の客に噛みついたのだ。
幸い、クルミの噛み方がとても優しかったから血は一滴も流れなかった。
いくつになっても油断できない猫だということを実感した。