空の鳥

主に飼い猫+野鳥を撮って、紹介しています。

日帰りニューヨーク

猫に目薬をさして、グレイハウンドのニュートン停車場へ。ネットで夕べ買った切符は払い戻しが出来ず、その上正規運賃を取られた。ニューヨークまで往復100ドル、これじゃ列車で行くのと変わらない。
行きのバスは5時間半かかる。早いときだと3時間半だから、ラッシュにかかったらバスはかかる時間が読めない。二度と午後一時発のニューヨーク行きには乗るまい。
図書館の近くのザイヤへ。ニューヨークに住んでるアルトサックスのK子ちゃん、ピアノのH君、朝のバスでボストンから来たS哉君と食事。
その後H君とは別れあとのふたりとキタノホテルへ。ドン・フリーマンのピアノトリオの演奏を聴く。感想は「こんなすごい人らはボストンにはいない」である。やっぱりジャズをしたい人はニューヨークに来なあかん。普段から私はバークリーの学生の演奏を聴き過ぎてるから、「本当に上手な」人のライブを聴いたらやっぱり、「ぜんぜん違うやんか。」と思ってしまう。
彼らのマネージャーで音楽事務所をやっているイタリア人、ジーノに会う。私のデモCDとバイオグラフィなどのファイルを見せると「スポンサーになりましょう」と言ってくれる。
「すぐ弁護士に電話して書類を送ってもらうように頼みなさい」との事。うれしい!ハグをしてバス乗り場へ。
夜のグレイハウンドのバス乗り場の従業員は一人残らず黒人だった。長蛇の列を30分以上並び、ニュートン行きのバスはどれですか?と尋ねたら、「ニュートン行きはなくなりました」と言う。「チケットに書いてあるやん。ネットでも調べたんやで」というと、「待って下さい」といって壁の時刻表を見に行き、「ニュートンに停まるって書いてありますね」という。「このバスに乗って下さい」と言うので乗って待つと、「ニュートンで降りられる方、降りて下さい」と言う。11時半に出るバスはボストンに直行するから、ニュートンには停まらない事になったんだと。「次のバスでは最初に載せて上げますから、列の先頭でお待ちください」という。ちょっと待って。次のバスはニュートンに停まらないんじゃないの。私はニュートンに車止めてるから何が何でも行かきゃいけない。そして待つ事一時間、ついにドアが開いた。先頭に並んでた私は「テイク・ミー・トゥー・ニュートン!!」と叫んだ。無表情な黒人の運転手が「あの後ろのバスに乗りな」という。言われた通り行って「このバスニュートンに行くの?」と聞いたらそこに居た運転手は「さあー?」っと言う。「あのドライバーが行くって言ったわよ」と言うと、「あ、だったら乗って」と言ってドアを開けて私を乗せて、すぐドアを閉めてどこかへ行ってしまった。
待つ事15分、他の2台のボストン行きのバスには人々が次々乗り込んで行くのが見える。私はたった一人本当にニュートンに行くのかどうかわからないバスに乗って、運転手が来るのを待った。するとドアが開いて、お客が大勢乗って来た。なんどS哉君も乗り込んで来た。最後に運転手が乗って来てマイクで「このバスは、ボストン行き、特急でございます」とアナウンス。すかさず私は「ちょっと、ニュートンはっ?」と叫ぶ。すると運転手は「ちゃんと行くよ。忘れてないさ」といって笑った。
バスは8丁目をまっすぐ北上し、ハーレムに入った。先頭に座ってたグレイハウンドの従業員を家の近くでおろすためだ。日本だったら、営業中のバスに従業員を2人載せて家の近くで降ろすなんて、ちょっと考えられない。すると5th Ave.の道路が閉鎖されていて、パトカーがいっぱい止まっていた。「人が撃たれたのよ。」と私の隣の黒人のおばちゃん。「なんでわかるのさ?」と運転手。「窓を開けて野次馬の子供らに聞いてみな」とおばちゃんが言うのに従って運転手が窓を開けて「いったいどうしたの?」と聞いたら、「人が撃たれたよ」と子供たち。夜中の一時の路上に子供たちがいるのもハーレムらしいけど、人が撃たれるのもあたりまえらしい。
バスは果たしてニュートンに停まってくれる。私ひとりのために路線変更してくれたのだ。S哉君も一緒に降りてくれ、猫屋敷に行って猫をふん捕まえて目薬をやるのを手伝ってくれる。