日本生まれの著者。
1960年に高校生の時に両親と兄弟で北朝鮮に渡る。
言われていた地上の楽園とは全く違う、貧しく自由のない国。
夫は働かず苦労して暮らすが、1997年に三男を連れて脱北。
二度捕らえられて牢屋に入れられ、辛酸を舐める。
国境を流れる豆満江は冷たく、次男や三男の嫁は溺れ死ぬ。
長女がブローカーの世話で中国の農夫の嫁に売られたり、本人も紹介されて寡夫と一緒に暮らす。
「まるで彼女が何かして、罰を受けてるの?」
と言うような人生。
面白かったのは、二度目の投獄で一年半の収監中に、牢名主みたいになったところだ。特別に歯磨き粉貰ったり、出所時見送ってもらったしたそうだ。
彼女は親切な人に巡り合ったり、親孝行な子供に恵まれたり、賢い人なので大変な中でも生き抜く術を持っていたり、歌ったり自然を楽しんだり、地獄のような人生の中に光るようなものを見出していて、読んでいてほっとする書物だった。