伯父が亡くなった。母の義兄に当たる人で、享年８４歳。
大きい会社の高い地位に会った人だ。だが家庭を大事にする人で、退社後まっすぐ帰宅していた。子どもの頃、伯父はオリンピックの衛星中継アンテナを取り付けにメキシコへ。おみやげにインデアンの財布を買って来てくれた。成長してから、ある日ある場所で、私は大きなケーキを切っていた。「dollyちゃん」と声がするので顔をあげると、この伯父がカメラを構えていた。後でできた写真を見たら、相方はケーキの向こう側に隠れて見えず、私がひとりでケーキを切っているかのようだった。伯父の目からは、ファインダー越しに私とケーキだけが見えていたのだ。
３人の子どもは皆父親思いで、しょっちゅう実家に会いに帰っていた。彼は先週末まで元気だったのに、日曜に脳出血で搬送され、４日間病室ですやすや寝て、そのまま逝ってしまった。リタさんのように何ヶ月も痛みや吐き気と闘って、時間をかけて亡くなる人もいるのに、彼の逝き方は理想的である。
今日は体調が悪くベビーシッターを休む。リハーサルは休めなかったので行く。ブラザーウイリアムが来ていたので、彼にだけ伯父が亡くなった事を言う。彼の伯父は第２次大戦に従軍、知り合った日本兵から教練の教科書をもらった。持ち主を捜していたので、伯父に相談していたのだ。伯父も学徒出陣で出兵。海軍だったので船上で終戦を迎えた。戦争中船の上で毎日ブリッジをしていて、飢える事も敵と応戦することもなかった。
伯父は３人の子どもと４人の孫というファミリーツリーを作り、尊敬され、愛されて逝った。告別式に列席してお別れが言えなくて残念だ。
