尾崎石城という侍が書いた絵日記を解説したもの。
当時29歳だったこの人は独身で、埼玉県行田市の城下町にある妹夫婦の家に居候している。年俸100石の武家に養子に行ったのに、藩に「上書」して下級武士に落とされてしまったので、絵描きのバイトをしながら暮らしている。
もちろん丁髷の月代( さかやき)の手入れもかかさないし、道場で剣術のお稽古もするし、江戸のお母さんにお歳暮(キャッシュ)も送っている。
毎日友達の武士やお寺の住職が次々遊びに来る。また彼もお寺や友達の家に頻繁に訪問し、パーティ三昧である。
座敷でご馳走を食べて、踊ったり歌ったりしている。そこには犬も猫も赤ん坊も女性達も商人も左官もいて、おおらかに人生を楽しんでいる。
絵が上手で描写が細かい。友達の家に行って、皆で座敷でゴロ寝。お風呂に入ったり泊まったりもしている。友達と読書会を開いたり、旅回りの歌舞伎や浄瑠璃を楽しむ。入場料はキャッシュでなくお米である。
のんびりして何とも楽しそうな日々。本当に江戸時代の暮らしってシビアだったんだろうか?
- 作者: 大岡敏昭
- 出版社/メーカー: 相模書房
- 発売日: 2007/05/01
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