空の鳥

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遠い家族―母はなぜ無理心中を図ったのか 前田勝著

ある台湾と韓国のハーフの俳優が書いた自伝。

本当にかわいそうな生い立ち。

両親が3歳の時に母が父と別れて、日本へ出稼ぎに行ってしまう。

父が台湾に帰国したので、韓国の母方の姉妹の家にお世話になる。

肩身の狭い思いといじめにあって、辛い子供時代を過ごす。

7歳で父のいる台湾へ。ここでも、ハーフなので小学校でいじめられる。

ある時、日本にいた母が連れに来た。名古屋で日本人と再婚したのだ。13歳で、母の再婚相手の養子になる。日本の中学高校では、バスケット部に入って、いじめにも合わず、良い教育を受ける。

高校卒業の3週間後、事件が起こる。

お母さんが、浮気をしていたお父さんを殺して、自死したのだ。

お母さんに対する憎しみと申し訳なさと、それでも愛している気持ちで、辛い青年時代を送った。彼。

でも俳優になって舞台で芝居するようになり、お母さんの事件を取り上げた芝居を3回上演する。

たまたま、通り掛かった、街角、インタビューで取り上げられ、ドキュメンタリー番組を組まれることになった。そこで、お母さんの友達や韓国の親戚、疎遠になっていた台湾の父に会うことができた。

あれほど憎んでいた殺人犯の母。でも、彼女はみんなから愛されていたことがわかった。

作者はかわいそうすぎる。でも、前向きで辛い気持ちを芝居に表すことができてよかった。素晴らしいと思った。

殺された日本人の父の親戚の人も、家を借りるときの保証人になってくれたり、優しい。

お母さんは激しすぎる人だっただけで、それはいけないことだけど、愛すべき人だったのだろうなと思う。

許すとはどういうことなのか、人が人をさばいても良いのか深く考えさせられた。

 

ザ・ノンフィクション「父を殺した母へ~無理心中から17年目の旅~」

FODで前田勝さんのドキュメンタリー番組を視聴した。本当に素晴らしかった。事件は凄惨で自死されたのも辛いことだったが、お母さんの友人、韓国の家族、台湾のお父さん、会って話ができて良かったなと思う。