ピエールカルダンで決めて、音楽の仕事に行く。
いつもより30分早く来てくれと言われ、その通り行く。
新米コーディネーターIさんは、前から助手として手伝ってはいたが、昇進したばかりで、あれこれ気配っていた。
オルガンの位置から、牧師さんの合図が見えるか、2度も確認しに来た。牧師さんは私に合図など普段しなくて、私が音楽を止めると式を始める、と言うことになっているのだが、余計なことは言わなかった。
牧師さんは納棺の時間になっても現れず、彼はオロオロし始めた。
再び私のところに現れ、牧師さんとの打ち合わせは済んだか聞いた。
「アーメン三唱とサンクルミデスは必要ない、と言われました。」と言うと
「ヌンク・ディミティスですね。」と訂正。
私にラテン語は憶えられない。
仕事が終わった時、私のもとに再び来て
「確かK教会でしたね。F田兄の時に行きました。大勢見えていました。僕の初めての仕事でした。」と彼は言った。
私はアメリカにいて出席できなかったのだが、それを聞いて葬儀屋でも驚くほど立派なお葬式だったんだなと思った。