今日はダイニングの塗り替えをする日なので朝から大騒ぎである。アメリカ人のルームメートたちは友達を大勢招待し、パーティしながら塗りはじめる。
私は猫の世話をしに行く。車のエンジンルームから変な音がし始め、気になる。
夕方から中華街のチャウチャウシティで結婚式のギグがある。キーボードをJ一郎君に運んでもらう。
結婚式は普通のいつものベトナム人結婚式であった。コカコーラとペプシのボトルと生温いシャンペンは各テーブルに乗っていたし、料理はひと揃いコースが無事に運ばれ、アオザイを着た花嫁は各テーブルでお祝いをもらっていた。ケーキもカットされて配られた。別にひどくもなくうまくいってたぐらいだ。
ところが、問題はその後おこった。カラオケをしたお客が下手すぎて、私らの演奏のせいにされ、花嫁が席を立って私らのところに文句を言いに来た。
それを見たひとりの酔ったお客がミキサーのケーブルを全部抜いてしまった。結婚式はストップし、客はぞろぞろ出て行き、良い客とバンドとの間でいさかいが始まった。すぐに2人警官が来たので大乱闘にならずにすんだ。言葉がわからないから、何といってわめいてるのかわからなかったが、ただならぬ気配であった。
かわいそうなのは花嫁さんだ。お客は遠くはベトナム、国内でもカリフォルニアから来ているのにこんな終わり方になって、気の毒だ。でも気丈な人なので泣いていなかった。彼女ならしっかりしてるからうまくやって行くだろう。私が一番心配したのは支払いだが、話し合いの後新郎新婦とバンドリーダーが握手をして、ちゃんと貰えた。最後の最後まで2人の警官はにやにやしながら立っていた。そして帰り際、君らの演奏良かったよ、と言ってくれた。
結婚式の仕事は日本にいた時から10年やってたが、こんなのは始めてだ。映画観てるみたいだった。
