「キンダートランスポートの少女」

戦争中イギリスに疎開したチェコの女の子、ヴェラ・ギッシングの自伝「キンダートランスポートの少女」を読む。彼女の両親はずっとイギリスに疎開した娘達に手紙を書いてくれていたが、ある時来なくなり、戦後戻ったら両方ともナチスの収容所に入れられて亡くなっていた。
住んでいた家も人手に渡り、学校でも差別された彼女は再びイギリスへ。結婚して子育てしている間チェコ人である事を忘れようとしていたが、この本を書いて有名になりバッキンガム宮殿で表彰された。それだけでなく、この集団疎開の世話をしたイギリス人がまだ生きている事がわかり、テレビで対面した。
この「イギリスのシンドラー」ニコラス・ウイントンの業績は全く知られていなかったし、妻にさえ言っていなかったが、あるとき屋根裏から沢山の名簿が妻に発見され、彼女によって明るみになったと言う。名簿が見つかった際彼はその名簿は捨てるようにさえ言ったのだ。有名になり、ほめられる事を望んでいなかったのである。
彼はエリザベス女王から勲章をもらい、チェコ政府からノーベル賞に推薦された。

キンダートランスポートの少女 [ ヴェラ・ギッシング ]