絵本作家、ターシャ・チューダーの長男が記した母の回顧録。
ターシャ・チューダーといえば、美しい庭園を世話しながら昔ながらの生活をするおばあさん、といったイメージだが、あれは老後の姿で、現役の頃の彼女はすごいパワフルな人だった。
家柄がまずすごい。高祖父がアメリカ初代大統領のワシントン大統領と友達で、共に独立戦争を戦った。
祖父が氷のビジネスで巨万の富を得た人で、ボストンの名士の一人。
母親が肖像画家、ターシャには英国から来た乳母がいつもそばにいた。
両親の離婚で、ニューヨーク郊外の母の友人の家に預けられるが、堅苦しいボストンと違って伸び伸びした家だった。
田舎暮らしが好きになったターシャは、バミューダーの別荘で保育園をしてお金を稼ぎ、おじさんに牛を売ってくれるように送金。
おじさんはお金を返し、一番いい牛を送ってくれた。ターシャは駅からその牛を引っ張って15キロ歩いて帰った。
結婚後、グリーティングカードや絵本で有名になり始めた彼女は、いつも騒がしい台所で作品製作していた。
ターシャといえばコーギーとニワトリといったイメージだが、昔は牛豚羊だけでなく猫も10匹買っていたそうだ。
テレビで見るターシャチューダーは、リタイヤ後の姿で、現役のターシャは、ニューハンプシャー州にもっと大掛かりな牧場でエネルギッシュに子育てや創作活動をしていた。
インフラがなかったので養蜂をはじめたターシャは蝋燭も手作り。料理も達人で、お客さんは感嘆した。服も当然手作りで、亜麻を育てて織り機で織り、シャツを縫った事もあった。